【リアージュつくば春日取材レポート】一生住めるマンションって、どんなカタチ?


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住まいの間取りって、驚くほど多くのバリエーションがありますよね。ライフスタイルや家族構成、趣味嗜好などは各家庭によって違いますから、バリエーションが多いのは必然。さらに、同じ家庭でも時間の経過によって最適な間取りが変わる…。そのあたりが住まい選びの難しいところかもしれません。

今回、私たちが取材したのは、そんな住まい選びにおける永遠の悩みに対する、ひとつの提案でした。一棟丸ごとリノベーション物件「リアージュつくば春日」の中にあるコンセプトルーム「MUJI infill 0 リアージュつくば春日」です。

居住者自身が作り、育ててゆく住まい

「リアージュつくば春日」は、全54戸の専有部分および共用部分のリノベーションを、一棟丸ごと手掛けたマンション。全戸南向き&両面バルコニー、平均面積100㎡以上という、ゆとりある設計が特長となっています。このマンション内にある一室がコンセプトルームになっていました。

部屋に入ってまず印象的なのは、横に長い、ひとつながりの空間であること、そして明るいことでした。部屋の中には仕切りやドアがなく、窓からの光が部屋中を満たしています。家具も少ないため、光を遮る物がありません。infill(インフィル)とは、建築用語で「内装」や「設備」のこと。これをゼロに近づけることで、ライフスタイルや嗜好の変化に対して柔軟に対応できる住まいを作ろう、というコンセプトです。

「MUJI infill 0 リアージュつくば春日」について、リビタ 一棟事業本部の澤田剛希さんにお話を伺いました。

U26:この部屋ができた経緯を教えてください

澤田さん:部屋を極力シンプルに、アレンジの自由度を高くすれば、時間とともにライフスタイルや家族構成が変化していっても空間を有効に使えるのではないか? という発想が原点です。内装、設備などは極力シンプルなものにしようと。そこで、MUJI HOUSEの「INFILL0」(http://housevision.muji.com/infill0/)というリノベーションの考え方と親和性が高いのではないかと、考えました。

部屋の面積に余裕があり、両面バルコニーなどの好条件を備えたリアージュつくば春日は、素材としてぴったりでしたので、両社のスタッフでINFILL0という考え方で、この部屋のポテンシャルを最大限に生かせるプランを考えました。

家族の成長に合わせて変化する…だけじゃない

U26:とてもシンプルですっきりしたインテリアが印象的ですが、生活する上での利便性と両立させるのが難しくありませんでしたか?

澤田さん:コンセプトルームは、物件を購入した直後の夫婦ふたり暮らしをイメージして作られています。収納については柱の張り出しに合わせて棚を設置する…といった工夫で、ひとつながりの空間ならではの余裕、開放感を重視したレイアウトとしました。居住者自身が必要に応じて家具を増やしていったり、生活の変化に応じてアレンジしていけるのです。。

また、「部屋が広すぎて冷暖房費がかかるのでは?」と訊かれることがありますが、間仕切りがないことで、風通しがいいのと、夏と冬の陽の入り方などに合わせて暮らしのレイアウトが変えられるので、逆にエアコンになるべく頼らない暮らしを目指せるのです。そしていったんエアコンを入れれば、家中温度差が少なくなる、というメリットがあると考えていただきたいです。

U26:どんな層へのアプローチを狙ったのですか?

澤田さん:生活環境の変化や個人の嗜好に対して柔軟に対応できる住まい…というテーマなので、ユーザー層や家族構成は特に想定していません。ただ、実際に見学に来られる方は、無印良品や当社の考え方に共感いただき、自分だけの空間を作りたい…という思いをお持ちの方が多いように感じています。今回はあくまでコンセプトの提案ですが、将来的にはこうしたスタイルでの住宅購入が増えてくるのではないか? と期待しています。

U26:DIYで作った自分好みの家具を設置したりするのも楽しそうですね

澤田さん:実は、この「リアージュつくば春日」、共用部としてDIYルームが設けられているんです! 自分自身の手で家具を作ったり、直したりすることによって、住まいに一層の愛着を持っていただこう、という狙いですが、目的はそれだけではありません。入居者どうしがモノづくりを通して共通の話題を見つけ、新たなコミュニケーションが生まれることに期待しています。そうしたコミュニティづくりの仕掛けを他にも複数用意しており、それらの試みが評価されて2015年度グッドデザイン賞を受賞することができました。このコンセプトルームとDIYルームとの相性も良いと思います!

U26:ありがとうございました!

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近年はマンションを選ぶ人も、永住志向が高くなっているそうです。今回訪れた部屋は夫婦ふたり暮らしを想定したレイアウトでしたが、同じ部屋をベースに育児のための空間を設けたり、子供が勉強に集中できる空間を棚で仕切ったりする、将来のフロアプランも提案されていました。同じマンションに長く暮らすことは、地域コミュニティへの貴族意識が高まる、売買に掛かるコストやストレスを減らせる…など、住む人にとって多くのメリットがあるはず。何かを“足す”のではなく、“引く”ことによって住まいの価値を高める…という発想がとても素敵だと感じました。

pict2▲ワイドスパンな部屋全体を仕切りのないひとつながりの空間としてデザインされたコンセプトルーム。両側にあるバルコニーと窓からの光が隅々まで届き、どの場所も明るいのが印象的

pict3▲ベッドルームは現在、南端にありますが、夏の朝方などは暑くなってしまう…。そこで衣替えのように、夏場だけ反対側の部屋にベッドを移動。仕切りのない住まいならではの自由さですね

pict4▲リビングとベッドルームの間は、さり気なく棚で仕切りられています。視点以上の高さにある棚の背板をなくしているのもポイント

pict5▲二人暮らしで約100㎡という面積には余裕があるので、くつろぐための空間も確保できます。将来的に子供部屋にしたりするアレンジも自在

pict6▲将来のフロアプランを、住む人自身で考え、住まいを作ってゆく。それはとても幸せで楽しい時間かもしれません。

さいごに・・・U26森・塚本感想

玄関を開けるとすぐにキッチンがあったり、敢えて仕切りをつくらなかったり、開放的なプランが印象的でした。

気分転換や結婚、子育て、子どもが独立して夫婦二人暮らしなど、シーンやライフステージに応じて自由に暮らしができることを想像するだけで楽しくなります。間取りを自分に合わせて自由にできる暮らし方が、リアージュつくば春日をきっかけに広がっていくといいなと思います。